DTCマーケティング とは
このコンテンツは、株式会社情報機構の講師コラムとして 2009 年 2 月 3 日~6 月 9 日にわたり同社の Web サイトに 10 回に分けて掲載されたものをそのまま紹介しています。内容 は 2009 年当時のもので一切加筆修正をしていません。予めご了承ください。また、無断引用および転載はご遠慮ください。
目次
「マーケティング・コミュニケーション」という言葉が、最近よく使われるようになってきた。
マーケティングの教科書には、マッカーシーによる4Pマーケティングの枠組みとしてProduct(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通チャネル)の4つが挙げられており、この4つのPを適切に組み合わせてマーケティング・ミックスを展開するとされている。
今まで経験のない消費者とのコミュニケーション、それはB to Cのプル戦略を製薬企業も実施せざるを得なくなったことを意味する。製造企業が大きくなるにつれて流通チャネルに対するプッシュ戦略と消費者に対するプル戦略を同時に用いることになるのはよく知られている。
製薬企業を対象としたセミナーなどで以前よく「IMCという言葉をご存じの方はいらっしゃいますか?」と質問をした。各回の参加者から「知ってます」という回答を聞いたことがない。これが、広告会社関係者の集まりだと、ほとんどの人が知っている。逆に「そんな当たり前な質問をしないでください」と怒られかねない。
実際にIMCを計画立案し、推進していくためにはいくつかの有効条件を考慮する必要がある。
IMCの研究者であるPercyはこれを9つに整理している。
先日も米国でのDTCに対する否定的な記事が配信され、それを読んだ人から筆者のところに問い合わせがあった。米国で現在のようなDTC活動が始まってからこれに対する賛否の論争は絶えない。
前号で「米国型とヨーロッパ型のそれぞれ違うDTCマーケティング」を見てみたが、賢明な読者はヨーロッパ型DTCが日本のDTCによく似ていることに気づかれたと思う。日本にDTCが導入された当時の最大の失敗は米国型のDTCをそのままお手本にしたことだと筆者は考えている。拙著『DTCマーケティング』はこれに対する警鐘の意味も込めて著したつもりである。
いよいよDTCマーケティングを推進するための社内組織について解説していこう。日本にある製薬企業でDTCマーケティングを推進するための専門部署を持っているのはほんの数社ではないだろうか。一番多いケースが、本社のマーケティング関連部署にDTCマーケティングの担当者を置くケースである。一人でも専任の担当者が居ればいい方で、著者の知る多くの企業では兼任の担当者であることが多い。DTCマーケティング以外の業務もこなしながらDTCマーケティングも見ていく形である。これは外部から見ていても気の毒なくらい本人が多忙であることが多い。日本でもDTCマーケティングがこれだけ普及してきたのだから、もっと専任の担当者も増やして一つの部署として機能させて欲しいとは思っている。
日本でも初期の段階のDTCマーケティングでは、MR活動との効果的な統合が計画されておらず失敗した事例があったようだ。米国でも初期の段階では同様であったようだが、現在はしっかりと統合されて実施されている。
著者が製薬企業から依頼されることが多い業務の中に、このDTCマーケティングの効果測定方法の整備と確立がある。DTCマーケティングを実施している企業では何らかの効果測定基準をすでに持っている。
このコラムもあっという間に10回目で最終回を迎えることになった。最終回ではこれからのDTCマーケティングについて著者が今感じていることを紹介していこう。