DTCマーケティングとは

第2回:医薬品マーケティングとDTCマーケティング

今まで経験のない消費者とのコミュニケーション、それはB to Cのプル戦略を製薬企業も実施せざるを得なくなったことを意味する。製造企業が大きくなるにつれて流通チャネルに対するプッシュ戦略と消費者に対するプル戦略を同時に用いることになるのはよく知られている。

今まで経験のない消費者とのコミュニケーション、それはB to Cのプル戦略を製薬企業も実施せざるを得なくなったことを意味する。

製造企業が大きくなるにつれて流通チャネルに対するプッシュ戦略と消費者に対するプル戦略を同時に用いることになるのはよく知られている。

このプッシュ戦略とプル戦略の両方が必要となることがIMC(統合型マーケティング・コミュニケーション)を考える上で重要になる(IMCについては次回で細かく触れる)。

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DTCマーケティングは紛れもないコンシューマー・マーケティングであり、製薬企業の実施するプル戦略である。少し前まで、製薬企業ではDTCマーケティングは特殊なマーケティング手法と考えられていたようだ。そのため、DTCマーケティングだけが単発のキャンペーンとして単体で検討され、計画され、実施され、結果として何の効果があったのかという議論が繰り返されてきた。 しかし、同じ企業が実施するマーケティングで医師向けのマーケティング、そして消費者のマーケティングと区別して考えること自体おかしなことである。製薬企業では未だに顧客は医師だけと考えている節があるが、本当の顧客は医薬品を服用する患者であろう。そうするとクリニックや病院などの医療機関は流通チャネルにおける小売店に相当すると考えるのが自然だ。大企業である製薬企業は、流通チャネルである販売代理店や医療機関に対して従来のプッシュ戦略を実施するのと同時に最終消費者である患者に対してプル戦略といえるDTCマーケティングを実施すると考えると分かりやすいのではないだろうか(図表2参照)。 DTCマーケティングの先進企業では、このプッシュ戦略とプル戦略のマーケティング統合が実に見事になされている。もはやDTCマーケティングだけを取り出して論議することはあまり意味のないことだろう。統合的なマーケティング活動の中に従来の医師向けのマーケティング戦略とDTCマーケティング戦略の両方があると考えるのが自然である。