DTCマーケティングとは

第1回:医薬品のマーケティング・コミュニケーション

「マーケティング・コミュニケーション」という言葉が、最近よく使われるようになってきた。
マーケティングの教科書には、マッカーシーによる4Pマーケティングの枠組みとしてProduct(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通チャネル)の4つが挙げられており、この4つのPを適切に組み合わせてマーケティング・ミックスを展開するとされている。

「マーケティング・コミュニケーション」という言葉が、最近よく使われるようになってきた。

マーケティングの教科書には、マッカーシーによる4Pマーケティングの枠組みとしてProduct(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通チャネル)の4つが挙げられており、この4つのPを適切に組み合わせてマーケティング・ミックスを展開するとされている(図表1参照)。

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ここでは「マーケティング・コミュニケーション」という言葉は出てこないが、マーケティングのツールの1つである「プロモーション」に該当するのが、「マーケティング・コミュニケーション」である。 しかし、従来の「プロモーション」と最近の「マーケティング・コミュニケーション」とは全く同じ概念という訳ではない。「プロモーション」が企業から顧客に対して一方的に働きかけていくイメージが強いのに対して、「マーケティング・コミュニケーション」は、企業と顧客との双方向のコミュニケーションという意味合いが強い。 これを単に「コミュニケーション」とだけ言う場合もあるが、これだと本来の「情報の伝達」という広い意味に捉えられかねないことになるので、「マーケティング・コミュニケーション」とした方が分かりやすいだろう。 さて、製薬企業の医薬品マーケティングでも「プロモーション」という言葉は頻繁に使われる。その活動のほとんどが医師に対する働きかけを指し、MRによる営業活動、医学専門雑誌の広告、販促資材の活用、医師向けの催しなどを総称している。典型的なB to Bのプッシュ戦略であり、これをあえて「マーケティング・コミュニケーション」と言い換えないのも無理はないだろう。 しかしそれが、最近では製薬企業も一般消費者に対してDTCマーケティングを導入するようになり、「マーケティング・コミュニケーション」という言葉を意識せざるを得なくなってきている。

解説:古川隆

古川隆:所属していたオーケストラの演奏会本番前の様子。手にしているのはC管クラリネット。
古川隆:所属していたオーケストラの演奏会本番前の様子。手にしているのはC管クラリネット。

実業家、広告学者、広報学者。1958年5月20日生まれで、株式会社アーベーツェー(ABC)の代表取締役を務める。また、東洋大学理工学部都市環境デザイン学科講師や、埼玉医科大学の臨床研究審査委員会委員なども兼任している。

医療用医薬品のマーケティングに30年以上関わり、特に「DTCマーケティング(Direct to Consumer)」の分野で多くの研究発表を行っている。また、DTCマーケティングに関する専門書も執筆しており、日本におけるこの分野の第一人者。

文芸活動ではクラリネットの演奏者でクラシック音楽全般への造詣は深い。
ダンスの分野では2019年は1869年(明治2年)に日本とオーストリア・ハンガリー二重君主国の間で結ばれた日墺修好通商航海条約からちょうど150周年を迎える年、それを記念し祝賀するために11月に開催された「日墺友好150周年記念舞踏会」の開催に参画し、実行委員を務め舞踏会を成功に導いた。

2023年11月にウィーンで開催されている舞踏会を日本にも普及させることを目的に「Wiener Blut Ball (ウィーン気質舞踏会)運営機構」を有志とともに設立、代表理事に就任した。2024年7月21日にワルツ王、ヨハン・シュトラウス二世の生誕200周年のプレ行事であるWiener Blut Ball (ウィーン気質舞踏会)2024を開催した。