DTCマーケティングとは

第1回:医薬品のマーケティング・コミュニケーション

「マーケティング・コミュニケーション」という言葉が、最近よく使われるようになってきた。
マーケティングの教科書には、マッカーシーによる4Pマーケティングの枠組みとしてProduct(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通チャネル)の4つが挙げられており、この4つのPを適切に組み合わせてマーケティング・ミックスを展開するとされている。

「マーケティング・コミュニケーション」という言葉が、最近よく使われるようになってきた。

マーケティングの教科書には、マッカーシーによる4Pマーケティングの枠組みとしてProduct(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通チャネル)の4つが挙げられており、この4つのPを適切に組み合わせてマーケティング・ミックスを展開するとされている(図表1参照)。

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ここでは「マーケティング・コミュニケーション」という言葉は出てこないが、マーケティングのツールの1つである「プロモーション」に該当するのが、「マーケティング・コミュニケーション」である。 しかし、従来の「プロモーション」と最近の「マーケティング・コミュニケーション」とは全く同じ概念という訳ではない。「プロモーション」が企業から顧客に対して一方的に働きかけていくイメージが強いのに対して、「マーケティング・コミュニケーション」は、企業と顧客との双方向のコミュニケーションという意味合いが強い。 これを単に「コミュニケーション」とだけ言う場合もあるが、これだと本来の「情報の伝達」という広い意味に捉えられかねないことになるので、「マーケティング・コミュニケーション」とした方が分かりやすいだろう。 さて、製薬企業の医薬品マーケティングでも「プロモーション」という言葉は頻繁に使われる。その活動のほとんどが医師に対する働きかけを指し、MRによる営業活動、医学専門雑誌の広告、販促資材の活用、医師向けの催しなどを総称している。典型的なB to Bのプッシュ戦略であり、これをあえて「マーケティング・コミュニケーション」と言い換えないのも無理はないだろう。 しかしそれが、最近では製薬企業も一般消費者に対してDTCマーケティングを導入するようになり、「マーケティング・コミュニケーション」という言葉を意識せざるを得なくなってきている。